その症状、歯周病かもしれません
思い当たる項目がないかチェックしてみましょう。下記の項目のうち、1つでも当てはまる場合は歯周病の可能性があります。
歯周病セルフチェック
- 歯茎が腫れている
- 歯磨きのときに出血する
- 朝起きたときに口のなかがねばつく
- 歯と歯の間にものが詰まりやすくなった
- 歯がぐらつく
- 歯が長くなってきた
- 歯が浮いたような感じがある
- 口臭が気になる
- 歯茎が痩せてきた気がする
歯周病の原因とその進行過程
1. 歯周病とは
歯周病とは、歯を支える骨や歯茎など歯の周りの組織(歯周組織)に炎症が起きる病気です。歯肉だけに炎症が起きている場合は歯肉炎、さらに炎症が広がった場合は歯周炎と呼ばれます。
歯肉炎 | 炎症が歯茎にだけに限定されるものを指します。歯茎が腫れたり、歯磨きの際に出血したりすることがあります。 |
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歯周炎 | 歯周炎は歯肉炎が進行したもので、歯茎だけでなく歯槽骨や歯根膜などの歯周組織にまで炎症が広がった状態です。歯周炎は歯槽膿漏と呼ばれることもあります。 |
2. 歯周病の原因
歯が十分に磨けていないと、歯と歯茎の間に歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。どんなに健康な人も、口のなかには300~500種類もの細菌が存在します。これらの細菌は普段は悪さをしませんが、歯磨きが十分でなかったり、砂糖を摂りすぎたりすると、ネバネバした物質を作り、歯の表面に付着します。これが歯垢です。
歯垢は粘着性が高いため、うがいをした程度では取り除くことができません。歯周病は歯垢のなかの細菌が繁殖し、歯肉に炎症を引き起こすことで発症します。
3. 歯周病の進行
歯周病は下記のように進行します。
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STEP01
健康な歯
- 歯茎がピンク色をしている
- 歯茎に弾力があり、引き締まっている
- ブラッシングによる出血がない
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STEP02
歯肉炎(初期段階の歯周病)
- ブラッシング時に軽い出血がある
- 食べ残しや歯垢が歯と歯茎の間に溜まっている
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STEP03
歯周炎(中等度の歯周病)
- 歯茎に腫れが生じる
- 冷たいものがしみる
- 口臭が強くなる
- 歯を支える骨(歯槽骨)を溶かし始める
- 歯茎から膿が出ることもある
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STEP04
歯周炎(重度の歯周病)
- 歯がぐらぐらする
- 食べ物が噛みにくい
- 歯茎がぶよぶよして膿や出血がある
- 歯茎が退縮する
- 歯槽骨が溶け、最終的には歯が抜ける
当院の歯周病治療の2つの特徴
当院の歯周病治療には次の2つの特徴があります
歯科医と各学会認定資格を有する歯科衛生士の連携による医療
当院では、各学会認定資格を有する歯科衛生士がタッグを組み、チーム医療で歯周病治療を行っています。
歯医者といえば、「歯が悪くなったら行くところ」「痛くなったら行くところ」というイメージを持つ方もいます。しかし、痛みが出てからでは手遅れになることも多く、病を予防できれば、削ったり、痛い思いをしたりする必要はなく、自分の歯を健康な状態に保つことができます。
当院は予防歯科を重要視しており、歯垢や歯石の除去やフッ化物塗布といった歯科衛生士による口腔ケアを行っています。また、患者様の状況やお悩みについても歯科衛生士と歯科医師の間で共有し、チーム医療で治療に取り組んでいます。
一人一人に合わせた治療プログラムの提案
当院では、マイクロスコープ(顕微鏡)やルーペ(歯科医療専用拡大鏡)を使い、一人一人に合わせた高度な精密治療を行っています。マイクロスコープ やルーペを使うことで、裸眼では見つけられない病巣の発見、低侵襲で精密な治療が可能になります。
マイクロスコープ
マイクロスコープは歯科用の顕微鏡です。患部を立体的に数倍~数十倍に拡大して見ることができます。マイクロスコープを使うことで、目視で治療を行う場合と比べて治療範囲を最小限に抑えることができます。
ルーペ
ルーペとは、ヘッドバンドやゴーグルで固定する双眼タイプの拡大鏡です。倍率は数倍程度ですが、架台固定式ではないので小回りが利き、視野が広く明るいため、全体のバランスを見ながら迅速に治療が行えます。ルーペで全体を診たあと、精密治療が必要と判断した個所に対してマイクロスコープを使用します。
歯周病治療の流れ
当院での歯周病治療の流れは以下となります。
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STEP01
歯周精密検査
精密検査をする意味合いとして、どの歯がどれ位歯周病が進行しているのか、一本一本精査し、歯周病の進行度合いによって、治療方法の提案をするため、まず、歯周病や虫歯の有無について検査を行います。当院で行う精密検査は下記の6項目です。
上下顎の型取り
上下の歯の型を取り、噛み合わせや修復物の状態、歯の形態などを診断します。
フェイスボートランスファー
咬合器上に再現したのち、現状の噛み合わせや歯のならびならびに治療に必要な処置などの診査診断に使用します。
X線写真(14枚法・パノラマ・CT撮影)
全体を大きく見定めて診断するために使用するパノラマX線写真,より正確に虫歯の進行度や歯周病の状態を診断するために使用する14枚法X線写真ならびにさらにより精密にピンポイントで病変を見つけ出すために使用するCT写真などを併用し、正確に精密に診断を行います。(不要な場合は撮影しません)
6点式歯周ポケット検査
歯と歯茎の境目にプローブと呼ばれる器具を挿入し、歯茎の腫れや歯周ポケットの溝の深さを『精密に測定し』確認します。
歯牙の動揺度(ぐらつき)
ピンセットで歯をつまみ、動かしたときのぐらつきの程度を調べます。歯周病によって歯槽骨が吸収されると歯を支える部分が減るため、歯が動きやすくなります。
口腔内写真
歯肉の色や形態、表面性状を記録することで、口腔状態がどのように変化したかを確認します。
口腔内の細菌検査(自費治療)
口腔内の細菌検査をすることで、虫歯のリスクや歯周病リスクを数値化しリスク診断します。特に歯周病に関しては、悪玉菌といわれるPg菌の測定をし、それぞれに応じた歯周病治療を行う為に使用します。
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STEP02
コンサルテーション(内容説明)
精密検査の内容を、正確に誠実にお話し致し、ご本人のご希望も伺いながら、様々な治療法,治療期間ならびにそれらの金額などを、ご説明します。
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STEP03
スケーリング(歯肉縁上歯石除去)
スケーリングとは、歯周病の原因となる歯や根の表面の歯垢や歯石を器械で取り除くことです。歯周病治療では、進行度に関わらず最初にスケーリングを行います。歯肉の上に付着している歯石のみを除去します。歯周病のステージ2以上は出血を伴います。
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STEP04
再評価
スケーリングから2週間後 に再評価(再検査)を行います。このとき、歯石の有無やブラッシングで歯茎の炎症が治まったかなどを確認します。
評価結果が良好だった場合は後述のメンテナンスプログラムへ移ります。しかし、歯周ポケットが深い場合や炎症が残る場合、歯周ポケットの改善が見られない場合は次のステップに治療を進めることになります。
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STEP05
SRP(歯肉縁下歯石除去)
SRPとは、スケーリング・ルートプレーニングの略で、キュレットスケーラーと呼ばれるSRP専用の器具を使い、縁下歯石(歯茎より下の部分の歯石)を除去することを言います。
SRPは歯周ポケットの奥深いところの歯石にアプローチするため、痛みが出やすく、苦手意識を持たれる方もいます。痛みが出ないよう、当院では必ず麻酔をした状態で処置を行います。熟練の歯科医師・歯科衛生士が 適切に処置を行いますので、ご安心ください。
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STEP06
再評価
SRPから2週間程度経過したら再評価を行います。ここでは、主に歯茎の状態について確認を行います。評価結果が良好だった場合はメンテナンスプログラムへ移ります。
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STEP07
歯周外科処置
SRPの評価結果が芳しくない場合は、状況に応じて歯周外科治療に進むことがあります。歯周外科治療とは、外科的に歯周ポケットの深さを減少させる手術を指します。
スケーリングやSRPを行っても歯周ポケットが改善しない場合、歯周病を再発するリスクがあります。歯周外科処置を行うことで、歯周ポケットを浅くし、清掃しやすい口腔環境にすることができます。歯周病の状態によっては再生療法を行います。
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STEP08
再評価
歯周外科処置が終わったあと、再評価を行い、治療効果を確認します。
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STEP09
メンテナンスプログラムへの移行
治療がすべて終了したら、再発を予防するために、正しいブラッシングと定期的なメンテナンスを行います。
いくら良い治療を受けても、ただしく歯を磨けていないと歯茎の状態は改善しません。当院では、歯磨き指導と定期的なメンテナンスを行い、再発防止と治療後の経過確認を行っています。一人一人その人に応じたメンテナンスプログラムを提案します。
よくあるご質問
歯周病の原因はプラークと聞きましたが、プラークとは何でしょうか?
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プラークは歯垢のことで、歯に付着している細菌の塊です。白または黄白色で粘着性が強いため、うがいなどでは簡単に取れません。歯周病予防では、正しい歯磨きやデンタルフロスなどでプラークの増殖を抑えることが大切です。歯ブラシ・フロス・歯間ブラシ…歯を磨く道具全て、お口の状況・病状によってその人に最適なものは異なり、千差万別です。強いて言えば、健康であっても唇の張り具合・咬筋の緊張度・歯茎の見え方・歯の並び方によってより簡素でかつ効率よく磨くツール(歯ブラシ・フロス・歯間ブラシ等)は異なってきます。当院では定期的に研修を行い知識のアップデート、技術の研鑽を行い患者さんに提供できるようにしております。お気軽に相談ください。
歯周病を治療しないとどうなりますか?
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歯周病は自然治癒するものではありません。また、放置すると最悪歯が抜けてしまします。歯周病は無痛下で進行することが多く非常に厄介でタチの悪い生活習慣病と言えます。最近は、全身疾患との関係性も指摘されており「歯周病は万病のもと」と言っても過言ではないでしょう。
噛み合わせが悪いと歯周病になりやすいと聞いたのですが…
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噛み合わせが悪い事自体で、直接歯周病になるわけではありません。しかし、歯の噛み合わせが悪くなると、綺麗に並んでる歯列に比べ当然磨き残しが多くなり、それらが原因で結果的に虫歯にになるリスクや歯周病になるリスクが高くなります。
たばこは歯周病と関係ありますか?
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関係あります。喫煙は歯周組織の抵抗力を低下させます。そのため、歯周病になりやすく、症状が悪化しやすくなります。
治療後は定期的に歯を診てもらわないといけませんか?
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痛みの有無に関わらず、定期的に健診に行くことは非常に大切です。特に歯周病は再発しやすい病気です。早期発見・早期治療が自分自身の歯を保存できる確率を大幅に増加させ、ひいては治療にかかる時間やお金の節約になります。